投稿日:2026年08月04日 更新日:2026年08月04日
「特許と商標には、どのような違いがあるのだろうか」
「特許と商標の違いについて知りたい」
と気になりませんか。
特許権と商標権はどちらも知的財産権に属し、ビジネスにおいて非常に重要な役割を果たしますが、その目的や適用範囲には明確な違いがあります。本記事では、特許と商標の定義や特徴、取得するメリット、ビジネスへの影響について詳しく解説します。これを読むことで、特許と商標を正しく理解し、適切に使い分ける方法を知ることができます。
特許と商標の目的における違い

弁護士
野俣 智裕
特許と商標の最大の違いは、その目的にあります。
- 特許の目的
新しい発明を守ることです。
- 商標の目的
商品やサービスを提供する企業や個人等を消費者に識別させるロゴやマークを守ることを通して、事業者の信用を守ることです。
特許とは何か

弁護士
野俣 智裕
特許は、新しい技術や発明に対する法的な保護を提供するものです。ここでは、特許の詳細について解説します。
特許の定義
特許とは、発明や技術を一定期間保護するための法律上の権利です。この権利を取得することで、他者が無断で同じ技術を使用、製造、販売等することを禁止できます。特許は国家が付与する独占権であり、技術革新を奨励する役割を果たします。
保護される対象
特許で保護されるのは、発明です。自然法則を使った技術的な思想の創作のうち、高度なものとされています。
発明が特許で保護されるためには、以下の4つを満たす必要があります。
- 自然法則を使っていること
発明は、自然法則を基盤としていなければなりません。例えば、永久機関のように自然法則に反してしまうものは認められません。
- 技術的思想であること
発明は、実際に利用可能な技術を伴う具体的なアイデアである必要があります。
- 創作であること
発明は、人間が新たに作り出したものでなければなりません。天然物そのものは対象になりません。例えば、自然界の鉱石や植物の単なる発見です。
- 高度であること
高度であることに関しては実用新案の考案と区別するために設けられたものであり、高度でないという理由で発明に認定されないことはありません。
存続期間
特許権の存続期間は、原則、出願日から20年です。ただし、次の点に注意が必要です。
- 20年の間、権利を維持するために毎年「年金(特許料)」を納付する必要があります。
- 特許権が切れると、その技術は公共の財産となり、誰でも自由に利用可能になります。
費用
特許取得のために特許庁に支払う料金は、以下のとおりです。
| 名目 |
金額 |
| 出願料 |
14,000円 |
| 出願審査請求料 |
138,000円 +(請求項の数 × 4,000円) |
| 特許料第1〜3年 |
毎年4,300円 +(請求項の数 × 300円) |
| 第4〜6年 |
毎年10,300円 +(請求項の数 × 800円) |
| 第7〜9年 |
毎年24,800円 +(請求項の数 × 1,900円) |
| 第10〜20(25)年 |
毎年59,400円 +(請求項の数 × 4,600円) |
弁護士や弁理士等の専門家に依頼する場合、別途専門家に依頼する料金がかかります。
登録要件
特許を取得するための主な要件は、以下のとおりです。
- 新規性
これまで一度も公開されていない技術であること。
- 進歩性
既存技術と比較して、新たな工夫や技術的な進歩が認められること。
- 産業利用性
発明が実際の産業活動に応用できること。
これらの要件を満たしていない場合、特許庁は権利を認めません。
特許のメリット
特許のメリットは、以下のとおりです。
- 収益化の可能性
特許をライセンス契約で他社に提供することで、ロイヤリティ収入を得ることができます。
- 企業価値の向上
特許を所有していることは、投資家や取引先からの信頼を得る要因となります。また、企業の技術力をアピールできます。
商標とは何か

弁護士
野俣 智裕
商標は、企業の商品やサービスを他社のものと区別するために使用される名称やロゴ、デザイン、スローガンなどを保護する知的財産権の一種です。ここでは、商標の概要を詳しく解説します。
商標の定義
商標とは、事業者が提供する商品やサービスの識別のために使用する名称、ロゴ、マーク、音、色彩などを保護する権利です。消費者が商品やサービスの出所を認識し、他社のものと区別するための目印となります。
保護される対象
商標法では、商品やサービスを他社のものと区別するための識別力を持つものが保護される対象となります。以下に具体的な保護対象を挙げ、それぞれ解説します。
- 文字
商品やサービスの名前として使用される文字列が対象です。
- 図形
ロゴやデザインが対象となります。企業やブランドを象徴するものが多く、消費者に視覚的に訴求する役割を持ちます。
- 記号
特定の商品やサービスを識別するための記号や特殊なデザインが保護対象です。
- 立体的形状
特定の立体的なデザインや形状も商標として保護されます。
- 色彩(単色または組み合わせ)
単独の色や色の組合せで識別される場合も保護対象となります。
- 動き(アニメーション)
特定の動作やアニメーションも商標登録可能です。
- 音
ジングルや特定のメロディーも商標として保護されます。
- ホログラム
見る角度によって変化する視覚効果を持つものも保護されます。
- 位置商標
商品や包装の特定の位置に配置されるデザインやロゴです。
存続期間
商標権の存続期間は、登録日から10年間です。更新も可能です。
費用
以下に、特許庁に支払う商標登録に関する費用で、1区分の場合を表にまとめました。
| 項目 |
金額 |
| 出願料 |
3,400円 + (1区分 × 8,600円) = 12,000円 |
| 登録料(10年分一括) |
32,900円 |
| 登録料(5年分) |
17,200円
※後半5年分も同額納付 |
分納は初期費用を抑えられるメリットがありますが、総額が高くなる点(上記表だと1,500円の増額)を考慮する必要があります。
登録要件
商標登録をするための主な要件は、以下のとおりです。
- 識別力があること
他社の商品やサービスと区別できる特徴が必要。一般的な名称や説明的な言葉は登録不可。
- 公序良俗に反しないこと
法令や道徳に反しない表現であること。
- 他社の商標と類似していないこと
既に登録された商標や周知の商標と似ていないこと。
商標のメリット
商標のメリットは、以下のとおりです。
- ブランド価値の保護
商標を登録することで、他社が同じ名前やロゴを使用するのを防ぎ、ブランド価値を守ることができます。
- 長期的なブランド戦略を可能にする
商標は10年ごとの更新で永続的に保護でき、長期的なブランド戦略を展開できます。
特許も商標もビジネス上重要な理由

弁護士
野俣 智裕
特許と商標は、それぞれ異なる側面からビジネスを保護し、成長を支える重要な役割を果たします。ここでは、その具体的な理由を説明します。
特許は技術の無断利用を防ぐ
特許は、新しい技術や発明を保護することで、競争力を維持し、他社の無断使用を防ぐ重要な役割を果たします。例えば、特許を取得することで、発明者や企業は一定期間、独占的にその技術を利用できます。他社が同じ技術を模倣した場合、法的措置を執ることが可能です。
商標は企業の消費者からの信頼を守る
商標は、企業のブランド価値を保護し、顧客との信頼関係を維持するために不可欠です。特にブランド価値を守るという点において強力な武器となります。商標は、商品やサービスの品質や特徴を象徴するものであり、企業のブランドイメージを守るのです。
特許と商標の違いを認識し、使い分ける方法
特許と商標は、ビジネスの保護対象や目的が異なるため、それぞれ適切に使い分ける必要があります。ここでは、技術開発を中心に考える場合とブランド戦略を重視する場合の使い分けについて説明します。
特許:技術開発が中心の場合
特許は、新しい技術や発明を保護し、競争力を維持するために活用されます。例えば、自社の競争優位を支える技術や発明がある場合、特許で保護することで模倣を防ぐことが可能です。このような場合、特許の取得を優先することが適切です。また、研究開発への投資を無駄にしたくないという場合も特許の取得を検討しましょう。
ブランド力を重視する場合:商標
商標は、商品やサービスを他社のものと区別するために使用され、ブランド価値を保護します。
以下のようなケースでは、商標登録が重要です。
- ブランド認知を高めたい場合
商品やサービスの名前、ロゴ、キャッチコピーを保護し、消費者の信頼を構築します。例えば、飲食店のロゴやアパレルブランド名などです。
- 消費者に品質を保証したい場合
商標が登録されていることで、消費者に「このブランドなら品質が信頼できる」と思わせる効果があります。
- 模倣リスクを避けたい場合
模倣品や競合他社が似た名称やロゴを使用するのを防ぎ、ブランド価値を守ります。
まとめ
特許と商標は、どちらも知的財産権としてビジネスを保護する重要な役割を果たしますが、その目的や適用範囲には明確な違いがあります。特許は新しい技術や発明を保護することで、競争力を高め、無断利用を防ぎます。一方で商標は、ブランド価値を守り、消費者との信頼関係を築くための重要な権利です。適切に特許と商標を使い分けることで、技術開発とブランド戦略の両面からビジネスを強化することが可能です。それぞれの制度を正しく理解し、必要に応じて権利を取得することで、模倣や不正利用のリスクを最小限に抑えることができます。特許や商標に関するお悩みやご相談がございましたら、当事務所までお気軽にご相談ください。
記事の監修者
代表弁護士野俣智裕
弁護士法人 ダーウィン法律事務所 代表弁護士
■東京弁護士会
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