投稿日:2026年08月03日 更新日:2026年08月03日
「特許出願を考えているが、どのような流れなのかを知りたい」
「特許出願の全体的な流れについて知りたい」
と気になりませんか。
特許権は、発明を守り、ビジネスの競争力を高めるために重要な知的財産権です。しかし、特許出願には専門的な知識が必要であり、手続の流れを正確に理解することが成功のカギとなります。本記事では、特許出願の全体の流れと注意点について初心者にも分かりやすく解説します。
特許とはどのようなものなのか

弁護士
野俣 智裕
特許は、発明を法的に保護するための制度であり、他者が無断でその発明を使用することを防ぐ強力な権利です。この権利を得ることで、発明者や企業は技術的な優位性を確保し、競争力を高めることができます。ここでは、特許の基本概念や特許出願の利点と欠点について解説します。
発明を保護する制度
特許制度は、新しい技術や製品を独占的に利用できる権利を発明者に与えます。この独占権は原則20年間(出願日から)有効であり、その期間中は他者が同じ発明を製造、販売、使用することを法律で禁止できます。
特許出願のメリット
特許を出願することで得られる主なメリットは以下のとおりです。
- 独占的な権利を得られる
特許権を持つことで、他者の無断利用を防ぎ、発明を独占的に使用できます。
- ビジネスの競争力を高める
特許を活用して製品やサービスの差別化を図り、市場での優位性を確保します。
- 収益化の可能性が広がる
特許をライセンス契約で他社に提供し、使用料を得ることが可能です。また、特許権自体を売却することもできます。
- ブランド価値を向上させる
特許を保有していることが企業の技術力や信頼性を高め、顧客や取引先からの評価が向上します。
特許出願のデメリット
特許出願にはメリットだけでなく、以下のようなデメリットも存在します。
- 費用がかかる
出願料、審査請求料、登録料などの費用が発生します。また、特許維持のために年次費用も必要です。
- 手続が複雑で時間がかかる
特許を取得するまでに1年以上を要することがあり、その間に市場の状況が変化する可能性があります。
- 発明内容が公開される
出願後に発明内容が公開されるため、他者に技術を模倣されるリスクがあります。
- 特許権の行使にはコストがかかる
権利侵害が発生した場合、法的手続を取る必要があり、それに伴う弁護士費用や訴訟費用が発生します。
特許出願の全体の流れ

弁護士
野俣 智裕
特許出願は複数のステップを経て進行します。これらの流れを理解し、適切に手続を進めることで、特許取得の成功率を高めることができます。ここでは、特許出願の全体の流れを詳しく解説します。
先行技術調査を実施する
先行技術調査は、特許出願の最初のステップです。発明が新規性や進歩性を備えているかを確認するために、既に公開されている特許や文献を調査します。
- 調査方法
特許庁の「J-PlatPat」や商用の特許データベースを利用して、類似技術が存在しないかを確認します。
- 目的
新規性が欠如している場合、出願しても拒絶されるため、不要な手間とコストを省くことができます。
書類を提出し、特許出願を行う
特許出願では、以下の書類を特許庁に提出します
- 願書
出願人、発明者の情報などを記載します。
- 明細書
発明の技術的な詳細を記載します。
- 特許請求の範囲
保護を求める発明の範囲を特定します。
- 図面
必要な場合のみ、発明を補足するための図解を添付します。
- 要約書
発明の要点を簡潔に説明したものです。
方式審査を受ける
特許庁は、提出された書類が形式的に正しいかを審査します。このプロセスを方式審査と呼びます。
- 審査内容
書類の形式や手数料納付額などの確認。
- 注意点
書類に不備がある場合、補正を求められるため、提出前に十分に確認しましょう。
出願審査請求を行う
出願から3年以内に審査請求を行わない場合、特許出願は取り下げられたものとみなされます。この手続は特許取得を希望する場合に必須です。発明の市場価値を見極めた上で、審査請求を行うタイミングを決定します。また、審査請求には手数料が発生します。
実体審査を受ける
実体審査では、特許の適格性が詳細に評価されます。審査官は、主に以下の点を確認します。
- 新規性
同じ技術が既に公開されていないか。
- 進歩性
専門家が容易に考えつかない技術であるか。
- 産業上の利用可能性
発明が実際に利用可能であるか。
問題がある場合、拒絶理由通知が送られます。この場合、意見書や補正書を提出して対応します。
特許査定
審査の結果、特許が認められる場合、特許査定が行われます。この時点で特許を取得するための手続が整います。一方で、特許が認められない場合は、拒絶査定が出ることになります。
特許権の設定登録を行う
特許査定後、所定の登録料を納付することで、特許が設定登録されます。これにより、正式に特許権が発生します。
【超重要】特許出願の注意点

弁護士
野俣 智裕
特許出願は、手続の正確さやタイミングが非常に重要です。ここでは、特許出願を成功させるために必ず押さえておきたいポイントを解説します。
出願前に公表しない
発明内容を出願前に公表すると、新規性を失うリスクがあります。新規性が認められない場合、特許取得が不可能となるため、以下に注意しましょう。
- 公表例
学会発表、論文掲載、展示会出展など。また、インターネット上へのアップロードもしないように注意してください。
- 対策
出願が完了するまで、発明内容を外部に一切公開しない。
ただし、新規性喪失の例外規定(特許法第30条)の活用によって、特定の条件下では、公表後でも新規性を失わずに特許を取得できます。この規定(同法第30条2項の場合)を適用するには、以下の手続が必要です。
- 出願と同時に申請書を提出する
新規性喪失の例外規定を適用する旨を記載した書面を提出します。
- 出願してから30日以内に証明書類を提出する
公表内容や日時を証明する書類が必要です。
注意点は、30日を過ぎると例外規定を適用できなくなるため、期限を厳守することが重要です。
専門家に依頼を推奨
特許出願の手続は非常に複雑です。弁護士や弁理士に依頼することで以下のメリットを得ることができます。
- 書類の正確性向上
不備なく書類を作成可能です。
- 審査対応の効率化
拒絶理由通知への対応もスムーズになります。
- 戦略的サポート
特許権を最大限活用するためのアドバイスが得られます。
特に、初めて特許を出願する場合や高度な技術が関わる場合には、専門家のサポートを受けることを強く推奨します。
審査請求はタイミングを考えよう
特許出願後、3年が経過するまでの間に審査請求する必要があります。これを行わない場合、出願は取下げ扱いとなります。
以下の点に注意してください。
- 審査請求の費用
審査請求には手数料が発生するため、事業計画や特許取得の必要性を慎重に検討する必要があります。
- 適切なタイミング
発明の事業化や市場価値を見極めた上で審査請求を行うのが賢明です。
国内優先権主張手続は出願日から1年以内に
特許制度の中には「国内優先権主張」という便利な仕組みがあります。これは、発明を最初に特許庁へ出願した後、新たに改良や追加情報を含む内容で別の出願を行う際に、最初の出願日を基準に権利を主張できる制度です。この仕組みを使うことで、発明内容がより強力に保護されるようになります。国内優先権は、先の出願日から1年以内に行わなければなりません。これを超えると優先権主張の権利が失われます。
外国出願時の主張手続(パリ条約)は1年以内に
海外でも特許を取得したい場合、パリ条約に基づく優先権主張を行うことが一つの方法です。この制度を活用することで、海外の特許庁での出願日を、日本国内での最初の出願日と同じ基準で扱ってもらうことが可能になります。パリ条約は、複数の国で特許権を取得するための国際的な枠組みを提供する条約です。この条約に加盟している国間では、「優先権」という仕組みを通じて、最初の出願日を基準として他国での特許出願を進めることができます。日本での出願を基準として優先権を主張する場合、日本での出願日から1年以内に対象の外国特許庁に出願を行う必要があります。
まとめ
特許出願は、自分の発明を法的に保護し、競争力を高めるために重要なステップです。手続の流れを理解し、各ステップで適切な対応を行うことで、特許取得の成功率を高めることができます。特に、出願前の先行技術調査や書類の作成、審査請求のタイミング、国内外での優先権主張など、重要なポイントを押さえておくことが大切です。また、手続が複雑なため、専門家のサポートを活用することでスムーズな進行が可能になります。特許出願に関する不明点やご不安がある場合は、当事務所までお気軽にご相談ください。経験豊富な専門家が、最適な解決策を丁寧にご提案いたします。
記事の監修者
代表弁護士野俣智裕
弁護士法人 ダーウィン法律事務所 代表弁護士
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