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知的財産コラム

防犯カメラの映像は個人情報?企業が知っておくべき法的ルールと注意点

投稿日:2026年10月02日 更新日:2026年10月02日

「防犯カメラをつけたいが、個人情報保護法はどのように関係してくるのだろうか」
「防犯カメラをつけるにあたって、個人情報保護法について知りたい」
と気になりませんか。
防犯カメラは、店舗やオフィスの安全確保を目的として企業で導入されています。
一方で、「防犯目的だから問題ない」「録画しているだけなら大丈夫」といった認識のまま運用されているケースもあるのです。
しかし、その映像は、内容によっては個人情報保護法の規制対象となります。
適切な理解がないまま設置・運用を続けると、思わぬトラブルにつながる可能性があるのです。
本記事では、企業が押さえておくべき実務上の注意点を分かりやすく解説します。

防犯カメラと個人情報保護法の基本


弁護士
野俣 智裕
ここでは、基本について解説します。

個人情報保護法とは何か

個人情報の適正な取扱いを確保することを目的とする法律です。
ここでいう個人情報とは、生きている個人に関する情報であって、氏名や顔画像等で、特定の個人を識別できるものを指します。
企業は、個人情報を取り扱う場合、利用目的の特定や安全管理措置、第三者提供に関する制限など、法律で定められたルールを守る必要があります。
防犯カメラの映像も、その内容によっては該当する可能性があるため、個人情報保護法の枠組みの中で考える必要があります。

防犯カメラを設置する事業者の立場

企業は、映像を取得・管理する立場にあります。
そのため、映像が個人情報に該当する場合には、個人情報取扱事業者としての義務が生じることになります。
企業としては、防犯カメラの設置・運用も、個人情報の取扱いの一環であるという認識を持つことが重要です。

防犯カメラの映像は個人情報にあたるのか


弁護士
野俣 智裕
ここでは、個人情報保護委員会の見解をもとに、判断のポイントを整理します。

出典:個人情報保護委員会
https://www.ppc.go.jp/all_faq_index/faq1-q1-13_/

特定の個人を識別できる映像は「個人情報」に該当する

映像に、特定の個人を識別できる情報が含まれている場合、その映像は個人情報に該当します。
氏名が映っていなくても、顔や体格、服装、行動の特徴などから特定の人物であることが分かる場合には、「生存する個人に関する情報」として個人情報保護法の対象となります。
店舗やオフィスの出入口、通路、受付などを撮影している防犯カメラでは、来訪者や従業員の顔が明確に映ることが多く、実務上は「個人情報を取得している」と考えて対応する必要があります。

防犯目的であっても利用目的の特定が求められる

防犯カメラで取得した映像が個人情報となる場合、事業者は利用目的をできる限り特定し、その範囲内でのみ利用しなければなりません。
典型的には「防犯・安全管理のため」といった目的が想定されます。
個人情報保護委員会は、カメラの設置状況から利用目的が明らかである場合には、個別の通知や公表までは不要としています。
もっとも、防犯目的を超えて、従業員の行動管理や業務評価、トラブル時の責任追及などに利用すると、目的外利用と評価されるおそれがあります。
防犯カメラの映像は、目的を限定したうえで慎重に取り扱う必要があります。

撮影されていることを本人が認識できる状態が必要

防犯カメラによる個人情報の取得は、本人が「撮影されていることが認識できる状態」で行われなければなりません。
本人が気付かない形で映像を取得することは、不正な取得に該当する可能性があります。
そのため、カメラの設置場所や出入口付近に「防犯カメラ作動中」などの掲示を行い、撮影の事実を明示することが重要です。
カメラの外観から明らかであったとしても、掲示を行うことで、より適切な運用と評価されやすくなります。
防犯カメラは、設置して終わりではなく、「誰が見ても撮影されていると分かる状態」を維持することが、法令上も実務上も重要なポイントとなります。

市町村のガイドライン・経済産業省などのガイドブック


弁護士
野俣 智裕
ここでは、参考にすべきガイドラインについて解説します。

具体的な運用ルールは、個人情報保護法や個人情報保護委員会の考え方を前提としつつ、国が示すガイドブックや、各自治体が策定するガイドラインによって補完されています。そのため、事業者は国の指針だけでなく、設置場所を管轄する自治体のガイドラインにも配慮しながら、実務に即した管理・運用を行うことが求められます。

経済産業省ガイドブックが重視するポイント

経済産業省のガイドブックでは、設置にあたり、生活者が撮影されていることや利用目的を容易に理解できる状態にすることを重視しています。
具体的には、撮影開始前の「事前告知」や、撮影中であることを示す「通知」を通じて、目的や管理主体を明確に伝えることが求められています。
防犯目的であっても、説明や掲示が不十分な場合、利用者に不信感を与えるおそれがあるため、入口付近への掲示など、設置環境に応じた分かりやすい周知が重要とされています。

出典:経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/privacy/downloadfiles/01_CameraGuideBook_jizenkokuchi_tsuchi.pdf

自治体ガイドラインが示す実務上の注意点

京都府のガイドラインでは、適切な管理・運用を行うことが重視されています。
とくに、撮影範囲は防犯目的に必要な範囲に限定し、私的空間や周辺施設を過度に映さない配慮が求められています。
また、防犯カメラを設置していることを出入口などに分かりやすく表示し、撮影されていることを認識できる状態にすることが重要とされています。
加えて、映像の閲覧や管理を行う責任者を定め、不要となった映像は長期間保存せず適切に消去することが望ましいとされています。

出典:京都府
https://www.pref.kyoto.jp/anshin/documents/1302229178145.pdf

防犯カメラが侵害し得る権利とは


弁護士
野俣 智裕
ここでは、防犯カメラの設置・運用にあたって問題となりやすい権利について解説します。

プライバシー権

プライバシー権とは、私生活上の事実や行動を、本人の意思に反してみだりに撮影・公開されない権利をいいます。
防犯カメラであっても、撮影範囲が過度に広かったり、私的な行動が継続的に記録されたりすると、プライバシー権の侵害が問題となる可能性があります。

肖像権

肖像権とは、自分の容貌や姿を無断で撮影・利用されない権利をいいます。
防犯カメラの設置自体が直ちに肖像権侵害となるわけではありませんが、撮影した映像を本来の防犯目的を超えて利用・公開した場合には、肖像権侵害として問題となるおそれがあります。

防犯カメラ設置時の具体的な注意点


弁護士
野俣 智裕
ここでは、最低限押さえておくべき実務上の注意点を整理します。

カメラの撮影範囲

撮影範囲は、防犯目的に必要な範囲に限定することが重要です。
通行人や近隣住宅の内部など、私的な空間が過度に映り込まないよう、設置位置や角度に配慮する必要があります。

利用目的の特定と掲示

防犯カメラで取得した映像は、あらかじめ特定した利用目的の範囲内でのみ利用しなければなりません。
防犯目的であることが分かる掲示を行い、撮影されていることを利用者が認識できる状態にすることが求められます。

映像の閲覧・管理ルール

映像を閲覧できる人を限定し、管理責任者を明確にしておくことが重要です。
誰でも自由に映像を確認できる状態は、目的外利用や情報漏えいのリスクを高めます。

保存期間と第三者提供の考え方

映像は必要以上に長期間保存せず、利用目的を達成した後は適切に削除することが望ましいとされています。
また、警察などへの提供を除き、第三者に映像を提供する場合には慎重な判断が必要です。

まとめ

防犯カメラの映像は、内容によっては個人情報保護法の規制対象となります。
防犯目的であっても、撮影範囲や利用目的、掲示方法、映像管理については適切な配慮が必要です。
また、国のガイドラインや自治体の指針も参考にしながら、トラブルを防ぐための運用体制を整えることが大切です。
お困りの際は、当事務所までお気軽にご相談ください。

野俣智裕
記事の監修者
代表弁護士野俣智裕
弁護士法人 ダーウィン法律事務所 代表弁護士
■東京弁護士会
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