「個人情報の目的外利用とは、どのようなことなのだろうか」
「個人情報の目的外利用と判定されるのは、どのようなケースなのだろうか」
と気になりませんか。
企業が日常的に取り扱う「個人情報」は、適切に管理しなければ大きな法的リスクにつながります。
とくに注意が必要なのが「目的外利用」です。
目的外利用は、意図せず行ってしまうケースもあり、企業側が気づかないうちに違反してしまうことがあります。
本記事では、個人情報の基本的な考え方から、目的外利用の具体例、企業が負うリスク、実務上の対策までをわかりやすく解説します。

個人情報とは、「生きている個人に関する情報で、特定の個人を識別できるもの」を指します。
氏名や住所、電話番号といった典型的な情報だけでなく、メールアドレス、社員番号、顔写真、IPアドレスなども、状況によっては個人情報に該当します。
また、単体では個人を特定できなくても、他の情報と照合することで特定できる場合も個人情報に含まれます。企業が扱う情報の多くが、実は個人情報に該当する可能性がある点は見落とされがちです。
実務上、特に見落とされやすいのが以下のような情報です。
これらは「業務上当然に扱っている情報」と思われがちですが、該当する可能性があります。
「知らなかった」「意識していなかった」という理由は免責になりません。企業として個人情報を取り扱う以上、法令を理解したうえで適切に管理する義務があると考えられています。

個人情報を手に入れた際に説明・公表した目的とは異なる目的で、その情報を利用することをいいます。
たとえば、
といったケースが該当します。
原則として、個人情報は「取得時に特定した利用目的の範囲内」でしか利用できません。
目的外利用が問題視される理由は、本人の予測や期待を裏切る行為だからです。
個人は「この目的のために使われる」と理解したうえで情報を提供しています。それにもかかわらず、別の用途で使われれば、プライバシー侵害につながります。
また、目的外利用は個人情報保護法に明確に違反する行為であり、指導や勧告、命令の対象となる可能性があります。

目的外利用が発覚した場合、個人情報保護委員会からの行政指導や、場合によっては刑事罰の対象になる可能性があります。
個人情報が不適切に利用された結果、本人に損害が生じた場合、損害賠償請求を受ける可能性があります。
また、金銭的な損害が発生していなくても、クレーム対応や説明対応に多くの時間とコストを取られることになります。
個人情報トラブルは、企業の信頼を大きく損ないます。
一度でも「情報管理が甘い会社」という評価がつくと、取引停止や契約解除につながることも珍しくありません。
特にBtoB取引では、情報管理体制は重要な評価項目です。
情報が外部に流出した場合、なりすまし被害や詐欺被害につながることもあります。こうした被害が発生すると、企業の社会的責任は非常に重くなります。

採用目的で取得した履歴書を、別部署で人員配置の参考資料として利用するなど、社内利用であっても目的が異なれば目的外利用となります。
業務委託の際に、必要以上の個人情報を共有してしまうケースもあります。委託契約を結んでいても、目的外利用が許されるわけではありません。
問合せ対応のために取得した情報を、本人の同意なく営業活動に使うケースは典型的な違反例です。特にメールマーケティングでは注意が必要です。

個人情報を取り扱う際には、あらかじめ利用する目的をはっきりさせ、その範囲を超えて使わないことが求められます。
目的をあいまいにしたまま情報を取得・利用することは、法令上認められていません。
利用目的を変更する場合や、第三者に提供する場合、原則、本人の同意が必要です。同意の取得方法や記録の残し方も重要なポイントになります。

まず重要なのは、「その個人情報を何の目的で使うのか」を明確にすることです。
問合せ対応、契約管理、採用業務など、取得目的ごとに利用範囲を整理し、社内で共有しておく必要があります。
目的が曖昧なまま情報を使い回してしまうと、意図せず目的外利用に該当するおそれがあります。利用目的は文書化し、誰が見てもわかる状態にしておくことが重要です。
個人情報は「誰でも見られる状態」にしてはいけません。
業務上必要な人だけがアクセスできるよう、権限を限定することが基本です。
特に注意したいのが、
といったケースです。
定期的にアクセス権限を見直すだけでも、リスクは大きく下げられます。
個人情報トラブルの多くは、悪意ではなく「知らなかった」「うっかり」が原因です。
そのため、個人情報の基本ルールや注意点を、社内で定期的に共有することが重要になります。
特に、顧客対応や採用に関わる部署には、
を明確に伝えておく必要があります。
業務内容や使用するツールは年々変化します。
それに伴い、個人情報の扱い方も変わっていくため、定期的な見直しが欠かせません。
「今の運用は目的外利用に当たらないか」
「情報を持ちすぎていないか」
といった視点でチェックすることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
業務で扱う情報は、使い方を誤ると法的な問題や信用低下につながるおそれがあります。
特に、取得時の目的を超えて利用してしまうケースは、企業側が気づかないうちにリスクを抱えがちです。
日頃から利用目的や管理体制を見直し、社内での扱い方を明確にしておくことが重要です。
情報の取扱いに不安がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
お困りの際は、当事務所までお気軽にご相談ください。