「要配慮個人情報とは、どのようなものなのだろうか」
と気になりませんか。
企業が顧客や従業員の情報を扱う場面では、その管理の重要性が年々高まっています。
特に、取扱いを誤ると本人の評価や生活に大きな影響を与える可能性がある情報については、通常よりも慎重な対応が求められます。
こうした背景から設けられているのが「要配慮個人情報」という区分です。本記事では、この情報の基本的な考え方から具体例、一般的な個人情報との違い、さらに取得や第三者提供に関するルールまでを整理します。

個人情報の中でも、取扱いによって差別や偏見などの不利益が生じるおそれがある情報を指します。
病歴や信条、犯罪歴といった情報は、本人の社会的評価や雇用機会に影響を与える可能性があるものです。そのため、一般的な氏名や住所といった情報とは異なり、より慎重に扱う必要があるものとして位置付けられています。
また、健康診断に関する情報なども対象に含まれる可能性があります。
この区分が設けられた背景には、情報の性質によってリスクの大きさが異なるという考え方があります。
通常の個人情報は、主に個人を識別するための情報ですが、ここで扱う情報はそれにとどまりません。内容によっては、差別や不当な扱いの原因となる可能性があるため、より厳格なルールが必要とされています。
具体的には、採用活動において病歴や信条が不適切に利用された場合、公平な評価が損なわれるおそれがあります。このような事態を防ぐため、特別な配慮が求められる情報として整理されています。

個人情報とは、生きている個人に関する情報で、特定の個人を識別できるものを指します。
具体的には、氏名や住所、電話番号、メールアドレスなどが該当します。また、単体では識別できない情報であっても、他の情報と照合することで個人を特定できる場合には、個人情報として扱われます。
両者の大きな違いは、取得や利用に関する規制の厳しさです。
一般的な個人情報は、利用目的の特定や公表など一定の要件を満たせば、必ずしも事前の同意を得ずに取得できる場合があります。一方で、要配慮個人情報は原則、例外を除き、取得の段階で本人の明確な同意が必要です。
なお、後の取得ルールの詳細解説にて、例外については詳しく解説します。

人種に関する情報は、差別や偏見を招く可能性があるため、特に慎重な管理が求められます。
具体的には、顧客データの分析において人種に関する情報を基準に分類を行うと、意図しない形で不公平な取扱いにつながるおそれがあります。社内資料への記載についても、必要性を慎重に検討しなければ、不要な共有を招くリスクがあります。
思想や信仰に関する情報は、個人の価値観に深く関わるものです。不適切に利用された場合、社会的な不利益が生じる可能性があります。
具体的に言えば、アンケートで取得した思想や信念に関する情報を営業活動に活用した場合、本人の意思に反する利用と評価される可能性があります。
被差別部落出身者であることや、非嫡出子であるといった情報も対象に含まれます。これらは本人の努力とは関係なく評価に影響を与える可能性があります。
具体的には、取引先の担当者に関する個人的な背景情報を社内で共有し、取引条件の判断材料とするような運用は、適切とはいえません。
過去の病気に関する情報は、就業やサービス提供に影響を及ぼすことがあります。そのため、慎重に扱う必要があります。
例えば、顧客の健康状態に関する情報をマーケティング目的で利用した場合、本人の意図しない形で扱われるおそれがあります。また、社内で必要以上に共有した場合にも問題となる可能性があります。
過去の犯罪歴は、社会復帰や取引機会に大きな影響を与える可能性があります。取扱いには細心の注意が求められます。
例えば、取引先調査の過程で得た情報を社内で広く共有し、その後の取引判断に利用した場合、不適切な運用と評価される可能性があります。
被害者に関する情報も対象となります。二次被害を防ぐ観点から、厳格な管理が必要です。
例えば、問合せ対応の中で得た被害情報を社内で共有する際に、必要以上の範囲に広げてしまうと、本人にさらなる負担を与えるおそれがあります。
障害に関する情報は、差別や不当な扱いにつながるリスクがあるため、特別な配慮が求められます。
例えば、サービス提供の可否を判断する際に、必要以上の情報を収集・利用した場合、過剰な取扱いと判断される可能性があります。
健康診断の数値や結果は、個人の健康状態を示す重要な情報です。企業が取り扱う場合は特に注意が必要です。
例えば、業務上の必要性を超えて健康診断結果をシステムに登録し、複数部署から閲覧できる状態にした場合、管理体制に問題があると判断される可能性があります。
医療機関での診療や治療に関する情報も含まれます。プライバシー性が高く、慎重な管理が求められます。
例えば、外部委託先に業務を依頼する際に、診療に関する情報を適切な管理措置なく共有した場合、委託管理の不備が問題となることがあります。
捜索や逮捕など、刑事事件に関する手続が行われたことに関する情報は、本人の社会的評価や信用に重大な影響を与える可能性があるため、要配慮個人情報として特に慎重に取り扱う必要があります。
少年の保護事件に関する手続が行われたという情報は、本人の更生を阻害する可能性があるため、要配慮個人情報として特別な規制を受けるものとして、厳格に取り扱われます。

この種の情報を取得する場合、原則として事前に本人から同意を貰う必要があります。
例えば、従業員の健康情報を取得する場合でも、本人の意思に基づいた同意が求められます。黙示的な同意では足りないと判断されるケースもあるため、明確な手続を取ることが重要です。
もっとも、すべてのケースで同意が必要というわけではありません。
法令に基づく場合や、人の財産や生命、身体の保護のために必要な場合など、例外的に同意なしで取得できる場面もあります。ただし、例外の範囲は限定されているため、安易な判断は避ける必要があります。

通常の個人情報では、一定の条件を満たせばオプトアウト方式で第三者提供が認められる場合があります。
しかし、要配慮個人情報については、この方法による提供は認められていません。より高いレベルでの保護が求められているためです。
個人情報を外部へ提供する場合には、基本的に本人の同意を得る必要があります。
たとえ同一グループ内での情報共有であっても、あらかじめ同意が取得されていなければ、法的な問題に発展するおそれがあります。現場レベルでは、情報取得の段階で利用目的や共有範囲を明確にしておくことが重要です。
本記事のテーマは、特に慎重な取扱いが求められる情報です。差別や不利益につながるおそれがあるため、厳格なルールが設けられています。
特に同意取得の有無や提供方法については、事前にルールを整理しておくことでリスクを防ぐことができます。
お困りの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。