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知的財産コラム

不正競争防止法における「限定提供データ」とは?分かりやすく解説

投稿日:2026年07月03日 更新日:2026年07月03日

「不正競争防止法で、限定提供データとは、どのようなものなのだろうか」
「不正競争防止法で保護される限定提供データとは、何を指すのだろうか」
と気になりませんか。
企業を支える知見が不正に利用されるのを防ぐため、様々な措置がありますが、中でも「限定提供データ」は特定の条件下でしか提供されないデータを対象としており、厳格な管理が必要とされています。本記事では、不正競争防止法の概要から限定提供データの定義、保護要件までを分かりやすく解説し、営業秘密との違いや具体的な保護対象について詳しくご紹介します。

不正競争防止法とはどのような法律なのか


弁護士
野俣 智裕
不正競争防止法は、企業が持つ知的財産や営業秘密などの重要なナレッジを保護し、公正な競争環境を確保するための法律です。

この法律の目的は、他者の技術や知見を不正に利用する行為を防ぎ、正当な競争の維持を図ることにあります。例えば、営業秘密の無断流出や模倣品の販売、誤認させるような表示による営業をすることなどが対象となり、企業や消費者に不利益をもたらす行為を規制します。

限定提供データの定義


弁護士
野俣 智裕
ここでは、限定提供データの定義について解説します。

限定提供データとは

限定提供データとは、不正競争防止法において保護されるものです。企業や組織が特定の者に対してのみ伝え、広く一般には公開していない情報を指します。

限定提供データのイメージ

企業間で複数のパートナーに対して共有や提供されることで、新たなビジネスチャンスの創出や、サービスや製品の付加価値を高めることが期待されているデータです。例えば、特定の取引先や顧客にのみ提供されることで、新しい事業展開や共同開発が進み、企業間の連携を深めるための重要なものとなります。

限定提供データの具体例

具体的には以下のような例が挙げられます。

  • 車の走行に関するもの
    自動車メーカーが車の走行に関するデータを公共機関に提供し、交通インフラの整備や災害時の対応に役立ててもらうことが考えられます。たとえば、渋滞に関するインフォメーションをするためにこの情報を活用するといったことも含まれます。
  • 機械稼働データ
    データ分析事業者が船舶等からリアルタイムで収集した稼働データを、造船会社や保険会社、公共機関などに提供し、災害時の判断や保守点検、リスク評価などに利用されることが考えられます。

限定提供データが保護対象となる要件


弁護士
野俣 智裕
限定提供データが不正競争防止法によって保護されるためには、ここで解説する3つの要件を満たす必要があります。また、除外される場合も併せて解説します。

要件1:限定提供性

業として、特定の者に提供することが求められます。特定の者とは、一定の条件のもとで、データ提供を受ける者のことを指します。

要件2:電磁的管理性

電磁的方法により管理されていることも保護の要件です。具体的には、IDやパスワード、ICカード、トークンなどにより、アクセスが厳重に制限されていることが必要です。これにより、外部の者がデータに不正にアクセスすることを防ぎます。

要件3:相当蓄積性

電磁的な方法で蓄積され、また、相当量の蓄積があり、価値のあるデータであることも求められます。相当量の蓄積とは、データの価値が継続的に高まるような状態であることを指し、データの収集や管理に費やされる労力や費用も考慮されます。例えば、特定のエリアごとの携帯電話の位置情報や、長期間にわたって蓄積された購買データなどが該当します。

除外要件:営業秘密に該当するケース

営業秘密は別途、不正競争防止法で保護されています。営業秘密としての要件を満たす情報は、限定提供データとは別の保護対象となります。そのため、ここでは除外されることになります。

除外要件:すでにオープンなデータになっている場合

すでにインターネットや公開資料で広くアクセス可能でかつ無料のデータは、限定提供データとしての保護対象外となります。

限定提供データと営業秘密の違い


弁護士
野俣 智裕
限定提供データと営業秘密は、どちらも不正競争防止法で保護されるものです。

しかしながら、営業秘密は秘密であることが前提であり、基本的に外部に一切公開されないことが前提となります。企業内で管理され、外部の人間にはアクセスが制限されているのです。一方で、限定提供データは特定の相手に開示される情報であり、完全に非公開ではなく、契約などに基づき一部の外部関係者に限定的に共有されます。このように、保護される前提となる条件が異なるという点に留意することが大切なのです。

共通要件


弁護士
野俣 智裕
不正競争防止法では、限定提供データを、取得や開示、使用することのうち、不正競争となってしまう行為を禁じています。ここでは、取得や開示、使用が何を意味するのかについて解説していきます。

取得

取得とは、データを自分の管理下に置く行為を指します。具体的には、データが保存されている場所からコピーしたり、他の媒体に移したりすることが該当します。

使用

使用とは、データを利用する行為を指し、データを使って研究や開発、製品やプログラムの作成を行うことがこれに該当します。たとえば、手に入れた他社の限定提供データを使って、営業活動に活用することです。

開示

開示とは、情報を第三者が知ることが可能な状態にすることを指します。実際に第三者が知るかどうかは関係なく、誰でも見ることが可能な場所に情報を置いた場合、それが「開示」に該当します。たとえば、第三者が閲覧できるような状態のホームページに情報を掲載することがこれに当たります。

侵害の様々なパターン


弁護士
野俣 智裕
ここでは、情報に対するアクセス権限のある者とない者から侵害についてのパターンを解説します。

権限のない者による行為

情報を取得するにあたって、アクセス権のないものからの侵害については、これから解説する不正競争防止法2条1項11号から13号が該当します。

同11号

他人のデータを、盗んだり、だましたり、脅したりして手に入れることは禁止されています。これは、データにアクセスする権利がない人が、不正な方法でデータを入手することを防ぐためです。

同12号

不正な取得があったことを知りながら、そのデータを取得・使用・開示してはいけません。

同13号

取得した後で、それが不正な手段で手に入れたものであると知り、知ったにも関わらずそのデータを他者に開示する行為を禁止しています。

権限のある者による行為

アクセス権のある者からの侵害については、これから解説する不正競争防止法2条1項14号から16号が該当します。データそのものにはアクセス権がある、つまり、知ることができる(教えてもらうことができる)立場にいる存在の者が禁止されている行為です。

同14号

限定提供データ保有者から、正式にデータを示された場合に、データの管理に関する任務(職務上の義務)に違反して、不正の利益を得る目的、またはデータ保有者にダメージを与える目的(図利加害目的)で使用することを指します。また、図利加害目的で開示する行為も対象です。

同15号

データが図利加害目的で開示されたものか、図利加害目的で開示されたことを知りながら、取得・使用・開示する行為は禁じられています。

同16号

データを取得した後で、それが図利加害目的で開示されたものであること、または図利加害目的で開示されたことを知った上で、そのデータをさらに他人に開示する行為を禁止するものです。

まとめ

今回は、不正競争防止法における「限定提供データ」とは何かについて解説させていただきました。特定の条件下でのみ提供されるもので、企業の競争力や価値を支える重要なものです。このテーマに関連する事柄について悩んでいる方は当事務所までお気軽にご相談ください。

野俣智裕
記事の監修者
代表弁護士野俣智裕
弁護士法人 ダーウィン法律事務所 代表弁護士
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