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知的財産コラム

意匠権侵害とは?定義、判断基準、法的対応策について解説します

投稿日:2026年06月02日 更新日:2026年06月02日

「意匠権侵害とは、どのようなものなのだろうか」
「意匠権侵害の定義や、判断基準について知りたい」
と気になりませんか。
意匠権侵害に関する問題は、製品デザインの独自性と市場での競争力を守るために非常に重要です。意匠権を持つ企業やデザイナーは、その独自のデザインが無断で使用されることを防ぎ、適切な法的対応を行うことで権利を守ることが求められます。本記事では、意匠権侵害の定義や判断基準、法的対応策について詳しく解説します。また、実際の判例を基にした具体的なケーススタディを紹介し、意匠権侵害に対する理解を深めます。

意匠権侵害とは

意匠権侵害とは、登録された意匠権を無断で実施することを指します。具体的には、登録された意匠と類似したデザインを無許可で製造、販売、使用するといった行為が該当します。このような行為は、意匠権者の権利を侵害するものであり、法的措置の対象となります。

意匠権侵害の判断基準


弁護士
野俣 智裕

意匠権侵害が成立するかどうかを判断する際には、以下の基準が考慮されます。

・類似性
意匠が登録意匠と類似しているかどうか。
・全体の印象
デザイン全体の印象が似ているかどうか。

これらの基準を基に、意匠権侵害の有無が判断されます。

そもそも、意匠権とはなにを指すのか


弁護士
野俣 智裕
意匠権とは、製品の形状、模様、色彩などのデザインに関する独占的な権利を指します。この権利は、特許庁に意匠を登録することで得られます。意匠権を取得することで、そのデザインを無断で使用されることを防ぎ、経済的利益を守ることができます。

意匠権を侵害された場合にできる法的措置


弁護士
野俣 智裕

意匠権を侵害された場合、意匠権者は以下の法的措置を講じることができます。

・差止請求
・損害賠償請求
・不当利得返還請求
・信用回復措置請求
・刑事告訴

それぞれについて解説します。

差止請求

差止請求は、意匠権侵害を防ぐための法的手段です。意匠権者は、裁判所に対して侵害行為の停止を求めることができます。この請求が認められると、侵害者は直ちに侵害行為を停止しなければなりません。例えば、ある企業が自社の意匠権を侵害する製品を市場に出回らせた場合、意匠権者は裁判所に差止請求を行い、販売を停止させることができます。これにより、侵害行為が続くことで生じるさらなる損害を防ぐことができます。

損害賠償請求

損害賠償請求は、意匠権侵害によって生じた経済的損失を補填するための請求です。意匠権者は、侵害行為によって被った損害を賠償金として請求することができます。また、意匠法第40条本文に基づき、過失が推定される場合があります。これは、侵害者が意匠権を侵害する行為を行った際に、その行為が過失によるものであると推定されることを意味するのです。つまり、意匠権者は侵害者の過失を立証する必要がなく、侵害者側が、過失がなかったことを立証しなければならないという点で、意匠権者に有利な規定です。

不当利得返還請求

不当利得返還請求は、侵害者が不当に得た利益を返還させるための請求です。意匠権者は、侵害行為によって侵害者が得た利益を取り戻すことができます。

信用回復措置請求

信用回復措置請求は、意匠権侵害によって損なわれた信用を回復するための請求です。意匠権者は、裁判所に対して信用回復のための措置を求めることができます。例えば、侵害者が意匠権侵害を行ったことで意匠権者のブランドイメージが傷ついた場合、謝罪広告を出すなどの信用回復措置が命じられることがあります。これにより、意匠権者の信用を回復し、ブランドの価値を守ることができます。

刑事告訴

意匠権侵害は、刑事罰の対象となる場合があります。刑事告訴を行うことで、侵害者に対して刑事責任を追及し、罰則を科すことができる可能性があるのです。具体的な刑罰としては、意匠法第69条に基づき、以下の、罰が与えられる可能性があります。

  • 10年以下の懲役
  • または、1000万円以下の罰金
  • あるいはその両方が科される

意匠権侵害に関する判例


弁護士
野俣 智裕
ここでは、意匠権侵害に関する判例について解説します。

両手なべに関する紛争

この判例では、原告が意匠登録した両手なべと被告の製品が類似しているとして、差止請求を行いました。

参考:裁判所 平成13年(ネ)第5158号 意匠権侵害等に基づく差止請求控訴事件

裁判所は、被告の製品が原告の意匠と類似している点と相違している点を詳細に比較し、特に意匠の要部である蓋体と鍋本体の一体感の違いを重視しました。その結果、両意匠は類似しないと判断され、差止請求は認められませんでした(東京高判平成14年6月27日)。

布団干し器に関する紛争

布団干し器の意匠権を持つ原告が、被告の製品が自社のデザインと類似しているとして訴えを起こしました。

参考:裁判所 昭和56年(ネ)第3156号 意匠権に関する民事訴訟事件

裁判所は、両製品の基本的構成態様と具体的構成態様を比較し、相違部分が見る者に与える印象の違いが強いと判断しました。そのため、両意匠は美感が全体として異なると認定し、類似しないと結論付けました(東京高判昭和58年5月16日)。

体重測定機付体組成測定器に関する紛争

原告であるオムロンヘルスケア株式会社が意匠登録した体重測定機付体組成測定器の意匠権を巡り、被告であるタニタ株式会社の製品が原告の意匠権を侵害しているとして訴えを起こしました。

参考:裁判所 平成24年(ワ)第33752号 意匠権侵害差止等請求事件

裁判所はタニタ株式会社に対して、約1億2,900万円の支払を命じました(東京地判平成27年2月26日)。

自社が訴えを起こす際の注意点


弁護士
野俣 智裕

自社が意匠権侵害で訴えを起こす際には、以下の点に注意する必要があります。

・意匠の類似性の判断
訴訟を提起する前に、侵害製品が自社の意匠とどれだけ類似しているかを詳細に分析します。特に、意匠の全体的な美感や形状、模様、色彩が類似しているかを確認することが重要です。
・訴訟費用とコストの計算
訴訟には多額の費用がかかるため、予算を設定し、コストを慎重に計算することが必要です。弁護士費用、裁判費用、証拠収集費用などを考慮します。

自社が訴えを起こされた場合の注意点


弁護士
野俣 智裕

自社が意匠権侵害で訴えを起こされた場合には、以下の点に注意します。

・速やかな対応
訴訟に対して迅速に対応することが重要です。訴訟に対する返答や防御策を迅速に準備し、裁判所に対して適切な対応を行うことが必要です。
・専門家の助言の取得
弁護士や特許事務所に相談し、訴訟の進行状況や防御策について専門家の助言を受けることが重要です。専門家の助言に基づいて戦略を立てることで、訴訟のリスクを最小限に抑えることができます。特に和解の余地がある場合、和解も検討するようにしましょう。

意匠権侵害をしないために重要なこと


弁護士
野俣 智裕
ここでは、意匠権侵害をしないために重要なことについて解説します。

事前調査を徹底する

市場に新しいデザインの商品を投入する前に、既存の意匠権を徹底的に調査することが重要です。意匠権のデータベースを活用して、同様のデザインが既に登録されていないか確認し、リスクを最小限に抑えます。

弁護士に相談する

意匠権に詳しい弁護士に相談することで、意匠権侵害のリスクを評価し、適切な対応策を講じることができます。

独自性の高いデザインの商品を作る

他社のデザインと差別化された独自性の高いデザインを開発することが重要です。独自性が高いデザインは、意匠権の取得だけでなく、市場での競争力も高まります。

デザイン開発の資料を普段から管理しておく

デザイン開発の過程を記録し、開発資料を適切に管理することが重要です。これにより、万が一意匠権侵害の疑いをかけられた場合でも、自社の正当性を証明するための証拠として活用できます。

ライセンス契約も考える

他社の意匠権を利用する場合は、ライセンス契約を結ぶことを検討します。ライセンス契約を通じて合法的にデザインを使用することで、意匠権侵害のリスクを回避できます。

まとめ

意匠権侵害は、企業やデザイナーにとって重大な問題です。適切な対策を講じることで、意匠権を守り、ビジネスの競争力を維持することができます。本記事では、意匠権侵害の定義や判断基準、法的対応策について詳しく解説しました。意匠権についてお悩みの方はぜひ、当事務所まで気軽にご相談ください。

野俣智裕
記事の監修者
代表弁護士野俣智裕
弁護士法人 ダーウィン法律事務所 代表弁護士
■東京弁護士会
■日弁連信託センター

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