「ソースコードに著作権はあるのだろうか」
「ソースコードと著作権の関係性について知りたい」
と気になりませんか。
システム開発やWeb制作を外注する企業にとって、「ソースコード」という言葉は頻繁に登場します。
しかし、ソースコードが何を意味するのか、その著作権が誰にあるのかを正確に理解していない企業も存在します。
この理解が曖昧なまま開発を進めると、「使えるはずのシステムが自由に改修できない」「思わぬ著作権トラブルに巻き込まれる」といった問題につながるおそれがあります。
本記事では、企業担当者が押さえておくべきソースコードの基本と、著作権・契約上の注意点を分かりやすく解説します。

ソースコードとは、コンピュータに対して「どんな処理を、どの順番で行うか」を指示するための文章です。
人間が日本語で指示書を書くように、コンピュータにも理解できる形で命令を書き並べたものがソースコードです。
ソースコードは、機械語とは異なり、人間が読んで内容を理解できる形で書かれます。
完成したシステムやアプリの「設計図」に当たる存在であり、修正や改良、保守を行う際には、このソースコードが不可欠になります。
ソースコードは、Python、Java、C言語などの「プログラミング言語」を使って記述されます。
どの言語を使うかによって書き方は異なりますが、本質的には「命令の集合体」である点は共通しています。

著作権法では、思想や感情を創作的に表現したものが「著作物」とされます。
ソースコードも、単なる事実や数値ではなく、「どのように書くか」という表現の選択が存在するため、著作物に該当し得ます。
重要なのは、プログラムの考え方や仕組みそのものが保護されるわけではない点です。
同じ処理内容であっても、具体的なコードの書き方が異なれば、別の表現として扱われます。この「書き方」の部分が著作権の保護対象になります。
処理内容が同じでも、変数の使い方や構成、順序などは書き手によって異なります。
この違いに個性や創作性が認められる場合、ソースコードは著作物として保護されます。

著作権の原則は非常にシンプルで、実際にソースコードを書いた人に著作権が発生します。
代金を支払ったかどうかとは、必ずしも一致しません。
従業員が業務としてソースコードを作成した場合、原則、「職務著作」として会社に著作権が帰属します。
ただし、就業規則や契約内容によって結論が変わるため、必ず会社のものになるとは限りません。
外部の開発会社やフリーランスに依頼した場合、契約で著作権の帰属を定めていなければ、原則として外注先に著作権が残ります。
「お金を払ったから自社のもの」という理解は、法的には誤りになることが多い点です。

「お金を払って開発したのに、ソースコードの著作権が自社にない」というケースです。外注先との契約書に著作権の帰属が明記されていない場合、原則としてソースコードの著作権は実際にコードを書いた外注先に残ります。
その結果、システムを改修しようとした際に「第三者に修正させるなら許諾が必要」「勝手に変更すると著作権侵害になる」と指摘され、自由に使えない事態に陥ることがあります。
外注先が、過去に別案件で作成したソースコードや、インターネット上のコードを流用していた場合、企業側が知らないうちに著作権侵害をしてしまうリスクがあります。
完成後に第三者から「自社のソースコードと酷似している」と指摘を受け、サービス停止や損害賠償を求められるケースもあります。
この場合、実際にコードを書いたのは外注先であっても、利用している企業側が責任を問われる可能性がある点が大きな問題です。
開発会社が倒産すると、ソースコードが手元に残らず、システムの改修や保守ができなくなることがあります。
このリスクは、契約で事前に防ぐことが可能です。
例えば、開発途中でもソースコードを定期的に納品させるなどしておけば、倒産時でもコードが失われにくくなります。
また、ソースコードを第三者に預ける「エスクロー契約」を利用すれば、倒産時にコードを受け取れる仕組みを作ることもできます。

ソースコードの著作権は、契約で定めない限り、原則としてコードを書いた側に帰属します。そのため、外注開発では「費用を払ったから自社のものだ」と思い込んでいると、後から著作権が自社にないことが判明するケースがあります。著作権を自社に帰属させたい場合は、その旨を契約書に明確に記載することが欠かせません。
契約書に「成果物を納品する」とだけ書かれていると、完成物だけが対象となり、ソースコード一式が含まれない場合があります。どの範囲のソースコードを、どのタイミングで納品するのかを具体的に定めておかないと、後から修正や引継ぎができなくなるおそれがあります。
開発会社が同じソースコードを他社や別プロジェクトで再利用することを許すかどうかも、事前に決めておくべき点です。再利用を制限したい場合は、その範囲や条件を契約で明確にしなければ、意図しない形で自社システムのコードが使われる可能性があります。

ソースコードに関するトラブルの多くは、契約書の記載不足が原因です。案件ごとにゼロから契約書を作成するのではなく、著作権の帰属や納品範囲を明記した契約書テンプレートを整備しておくことで、認識のズレを防げます。
ソースコードを誰が、どこで、どのように管理しているのかを明確にすることも重要です。開発会社任せにせず、自社でもコードを保管・確認できる体制を整えておかないと、引継ぎやトラブル対応ができなくなるおそれがあります。
外注コードの流用や、OSSの利用などは、知らないうちに著作権侵害につながることがあります。契約内容や利用方法に不安がある場合は、早い段階で弁護士に確認することで、後から大きな法的リスクを抱える事態を避けられます。
ソースコードは、システムやサービスの中核となる重要な資産であり、著作権や契約の理解が不十分なまま外注開発を進めると、後から大きなトラブルに発展するおそれがあります。特に、著作権の帰属や納品範囲、管理方法については、事前に契約で明確にしておくことが重要です。自社の事業を守るためにも、早い段階で専門家の視点を取り入れることが有効です。ソースコードや契約に不安がある場合は、当事務所までお気軽にご相談ください。