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知的財産コラム

「フリー素材だから大丈夫」は危険。企業が著作権トラブルを防ぐための正しい知識

投稿日:2026年09月02日 更新日:2026年09月02日

「WEBサイトのデザインにフリー素材を使おうと考えているが、著作権はどうなるのだろうか」
「広告を作ろうと考えているが、フリー素材を使っても著作権は問題ないのだろうか」
と気になりませんか。
近年、企業のWebサイトやSNS、広告制作において「フリー素材」が活用されています。コストを抑えながら高品質なデザインを実現できる便利な手段ですが、「無料で使える=自由に使ってよい」と誤解すると、法的トラブルにつながってしまう可能性があるのです。
特に、商用利用を前提とする企業活動では、一般ユーザーよりも厳格なルールが求められます。
本記事では、フリー素材の基本的な仕組みと、企業が著作権トラブルを防ぐために知っておくべきポイントを解説します。

フリー素材にも著作権はある


弁護士
野俣 智裕
ここでは、フリー素材と著作権の関係について解説します。

そもそも著作権とは何か

著作権は、写真・イラスト・文章などの創作物を保護する法律上の権利です。作品が生まれた瞬間に自動的に発生し、登録の有無に関係なく保護されます。無断利用すれば、損害賠償や刑事罰の対象となることもあります。

「フリー=自由に使える」ではない理由

「フリー素材」と聞くと、自由に使ってよいと誤解されがちです。しかし多くの素材は利用規約で使用範囲が明確に定められています。「商用利用禁止」「クレジット表記必須」「加工禁止」といった条件を見落とすと、思わぬトラブルにつながります。

著作権フリーとロイヤリティフリーの違い

「著作権フリー」は、著作権が放棄または消滅しており、誰でも自由に使える状態を指します。一方「ロイヤリティフリー」は、ライセンス制です。一度支払をすれば、毎回お金を支払う必要性はありません。完全に無料ではない点に注意が必要です。

トラブルの原因となり得る行為


弁護士
野俣 智裕
ここでは、実際に企業で起こりやすい著作権トラブルの原因を紹介します。

ネット上で拾った出自不明な画像を使ってしまう

Google画像検索やSNSに掲載されている画像には著作権によって保護されているものがあります。中には「フリー素材」と記載されているものでも、実際は第三者の著作物を無断転載しているケースもあります。「知らなかった」では済まず、著作権者から損害賠償を請求される可能性があります。

利用規約を読まずに商用利用してしまう

フリー素材サイトの中には、個人利用は無料でも、企業による商用利用を禁止や制限しているところもあります。「会社サイトに載せただけ」「社内資料だから大丈夫」と思ってしまいがちですが、いずれも「営利活動の一部」と見なされることがあります。

クレジット表記が必要な素材を無断で掲載する

一部のフリー素材は「著作者名の表示」や「サイトURLの記載」が利用条件に含まれています。
しかし実務では、デザイン性や紙面の都合からクレジットを省略してしまうケースがあり、それが規約違反につながります。クレジット義務を怠ると、後から正規利用料以上の請求を受けることもあります。

人物・建物が写った写真を許可なく使ってしまう

写真素材には、著作権だけでなく「肖像権」「パブリシティ権」「商標権」「施設利用のルール」など、さまざまな権利が絡みます。特に人物・店舗・ブランドロゴ・アート作品が写っている素材は注意が必要で、権利者の許可が必要なケースがあるのです。著作権だけを確認して安心してしまうことが、トラブルの温床になります。

会社でフリー素材を使うときに確認するべきこと


弁護士
野俣 智裕
ここでは、企業がフリー素材を安全に使うために、事前に必ず確認すべきポイントを解説します。

【重要】必ず利用規約やライセンスを使用前に確認する

フリー素材のトラブルは、「規約を読んでいなかった」ことから発生することがあります。
素材配布サイトの利用規約には、使用範囲、禁止事項、クレジット義務、加工の可否などが書かれていることが一般的です。会社として利用する場合、担当者がこの内容を理解せずに使うことは非常に危険です。特にサイトごとに規約が異なるため、毎回確認することが重要となります。

商用利用は問題ないのか確認する

フリー素材の中には「商用利用不可」「法人利用は有料プランのみ」といった制限が設けられているものがあります。
企業サイト、広告、会社パンフレット、SNS運用などは商用利用に該当する可能性があります。たとえ無料と書かれていても、商用利用が禁止されている素材を使えば著作権侵害に該当する可能性があります。利用前に条件を確認する必要があります。

素材を加工してよいのか確認する

フリー素材の中には、色調整やトリミングなどの軽い編集から、合成・変形などの大きな加工までを禁止しているものがあります。
企業の制作物では、デザインの都合上どうしても加工が必要になるケースが多いため、「加工可」なのかどうかは重要な項目です。加工を禁止している素材を編集して使うと、規約違反となりトラブルにつながります。

信頼できるサイトや配布元を選ぶ

フリー素材サイトの中には、第三者が著作権を持つ画像を無断で掲載しているケースもあります。こうしたサイトの素材を使うと、利用者が知らないうちに著作権侵害をしてしまう可能性があります。
企業利用では、著作権管理が明確で運営がしっかりした配布元を選ぶことが重要です。安全性の高いサイトを選ぶだけで、トラブルの多くを事前に回避できます。

クレジット表記やリンク義務の有無を確認する

「著作者名の表記」や「サイトへのリンク」を義務付けている素材があります。紙媒体や自社サイトではクレジットを入れづらい場面も多いため、利用前に確認しなければ後で違反になる可能性があります。企業利用では、表記義務の有無は必ずチェックしたい項目です。

人物・建物などに第三者の権利が含まれていないか確認する

写真素材には、著作権以外に「肖像権」「パブリシティ権」「商標権」「施設管理者の許可」などが関わることがあります。
特に写真に人が写ってしまうケースにおいて、モデルリリース(肖像権使用許諾書)がない写真は企業利用に適さないことが多いです。また、特定の建物やブランドロゴが写っていると、別の権利問題が発生します。第三者の権利の確認は、著作権と同じくらい重要なチェック項目です。

もし「著作権侵害」と指摘されたら


弁護士
野俣 智裕
ここでは、実際に企業が「著作権侵害の疑いがあります」と連絡を受けた際に取るべき初動対応を解説します。

すぐに利用を停止する

まずは、指摘された画像や素材の利用を即座に停止します。
企業サイト、ブログ、広告バナー、資料、SNS投稿など、当該素材が掲載されている箇所をすべて非公開にして被害の拡大を防ぎます。
「利用を止める」という初動だけで、後の交渉や調査がスムーズに進みます。

規約や経緯を確認して整理する

次に、素材を取得した経路や利用規約を確認し、事実関係を整理します。

  • どのサイトからダウンロードしたのか
  • その時点の利用規約の内容はどうだったか
  • 商用利用や加工は許可されていたか
  • クレジット表記義務はあったか
  • 社内で誰が、どのような経緯で素材を使ったのか

これらを明確にすることで、指摘が妥当かどうか判断しやすくなります。また、法的な対応をする際にも、この整理が非常に重要になります。

弁護士など専門家に相談する

著作権トラブルは、企業にとってリスクが大きく、独断で対応するのは危険です。
特に以下のケースでは、早めに弁護士へ相談する必要があります。

  • 相手から損害賠償や請求書が届いている
  • 「法的措置を検討する」と連絡を受けている
  • 自社に落ち度がある可能性がある
  • 相手と直接交渉することに不安がある

専門家に相談することで、対応方針やリスクを正確に把握でき、不利な条件での和解や過大な請求を避けることができます。

まとめ

フリー素材は便利ですが、「無料だから大丈夫」と思い込むと著作権や肖像権のトラブルにつながります。特に企業利用では、商用利用の可否や加工ルール、クレジット表記、第三者の権利などを事前に確認することが欠かせません。万が一トラブルが発生した場合は、早めに専門家へ相談することで被害を最小限に抑えられます。著作権に関するご不安があれば、当事務所までお気軽にご相談ください。

野俣智裕
記事の監修者
代表弁護士野俣智裕
弁護士法人 ダーウィン法律事務所 代表弁護士
■東京弁護士会
■日弁連信託センター

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