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知的財産コラム

お店やイベントで流すBGM。企業が知らないと危ない著作権リスク

投稿日:2026年09月02日 更新日:2026年09月02日
キーワード:  

「BGMには、著作権がどのように関係するのだろうか」
「購入したCDのBGMをお店で流すだけなのだが、著作権侵害にはならないだろうか」
と悩んでいませんか。
飲食店や小売店、展示会や社内イベントなどでBGMを流すことは、空間の雰囲気を演出し、来客や社員の満足度を高めるうえで重要な取組みです。ところが、このBGMには「著作権」という法律上のルールが深く関わっています。
「CDを買ったから自由に流せる」「サブスク契約をしているから問題ない」と考えてしまう経営者も多いのですが、これは大きな誤解です。
気付かないうちに著作権侵害にあたり、損害賠償請求や企業の信用低下につながる事例は少なくありません。
本記事では、法人がBGMを使用する際に知っておくべき著作権の基本と、具体的なリスク、そして適切な対策について解説します。

著作権の基本と気を付けるべきこと


弁護士
野俣 智裕
ここでは、BGMを利用する際に必ず押さえておくべき著作権の基本と、法人利用ならではの注意点について解説します。

著作権とは

著作権とは、音楽や映像、文章などの創作物を生み出した人が、その利用方法をコントロールできる権利です。音楽の場合、作曲者や作詞者が著作権者となり、楽曲を演奏・録音・配信に使うときには、原則として著作権者の許可が必要です。さらに、歌手や演奏者、レコード会社などには「著作隣接権」という別の権利があり、市販CDや配信音源を使う際にはこの処理も欠かせません。

法人が利用する場合に気をつけるべきこ

法人が音楽を利用する場合、たとえ入場料を取らない社内イベントであっても「営利活動の一環」とみなされる傾向にあります。店舗のBGM、展示会での演出、採用説明会や研修動画での利用なども、個人の「私的利用」とは区別され、著作権者や管理団体(JASRACなど)への申請や使用料の支払が求められます。これを怠ると損害賠償や信用低下につながる可能性があるため、法人は特に注意が必要です。

なぜBGMに著作権が関わるのか?


弁護士
野俣 智裕
ここでは、日常的に行われがちなBGM利用が、なぜ著作権の問題につながるのかについて解説します。

「買ったCDだから大丈夫」は誤解

店舗やイベントで「購入したCDだから自由に流せる」と考える人は少なくありません。しかし、CDを購入したのは「聴く権利(私的利用)」であって、営利目的で不特定又は多数に流す権利までは含まれていません。実際に店内で再生する場合には、作詞者・作曲者の著作権や実演家・レコード会社の著作隣接権が関わるため、使用料の支払が必要になります。

個人向けサブスクを会社で流すのは違法になる可能性がある

音楽サブスクリプションサービスは、利用規約で「個人利用」に限定されていることが多いです。つまり、法人が店舗やオフィスで流すと規約違反となり、著作権侵害に問われる可能性があります。意図的でなくても、法人利用である時点で「営利利用」と判断されやすく、リスクが大きいのです。

PR動画やYouTube配信も要注意

企業が採用動画やPR動画を制作する際に、市販の楽曲を無断でBGMとして使用すると著作権侵害に該当します。さらにYouTubeなどで公開すると、動画の削除・収益停止・法的責任につながるケースもあります。企業活動での動画利用は「広告・宣伝」とみなされるため、特に慎重な対応が必要です。

企業で起こりやすいBGMトラブル事例


弁護士
野俣 智裕
ここでは、企業が実際に直面しやすいBGM利用に関するトラブル事例について解説します。

店舗でCDを流したケース

飲食店や小売店で「購入したCDを流すだけだから問題ない」と考える経営者は少なくありません。しかし、店舗で音楽を流すことは「営利目的の公衆への演奏」にあたり、JASRACなどへの著作権使用料の支払が必要です。無許可で流していた場合、管理団体からの指摘や損害賠償請求に発展することがあります。

社内イベント・展示会での使用

社員総会や展示会などで人気楽曲を流すケースも要注意です。たとえ「社内イベントだから営利目的ではない」と考えても、法人が行う活動は基本的に「営利活動」とみなされる可能性があり、著作権使用料の支払が求められる場合があります。特に展示会など来場者が不特定多数となる場では、リスクがさらに高まります。

採用動画・PR動画のBGM

採用広報や商品紹介の動画制作において、有名アーティストの楽曲をBGMに使用するのは典型的な著作権侵害の例です。動画に音楽を組み込む場合、YouTubeにアップロードすれば自動検出システムにより削除等の対象になります。企業の信用低下にもつながるため、事前の権利処理が欠かせないのです。

BGMを安全に使う3つの方法


弁護士
野俣 智裕
ここでは、企業が安心して音楽を利用するために取れる具体的な方法を解説します。

店舗BGMサービスを利用する

有線放送やインターネット経由で提供される店舗BGMサービスを利用すれば、月額料金の中に著作権使用料が含まれており、追加の申請手続は不要です。飲食店や美容室、商業施設で広く利用されており、音楽のジャンルや雰囲気を選んで再生できる点もメリットです。導入コストはかかりますが、安心して音楽を流せる仕組みとして有効です。

規約を確認して著作権フリー・ロイヤリティフリー素材を使う

インターネット上には、商用利用可能なフリーBGMやロイヤリティフリー音源を配布しているサービスがあります。利用規約に従えば、追加の著作権使用料を支払う必要はありません。ただし「商用利用可」と記載されていても、使用範囲に制限がある場合があるため、必ず利用規約を確認することが大切です。

JASRAC等に申請する

市販のCDや音源をそのまま利用したい場合は、JASRACなどの著作権管理団体に申請し、使用料を支払うことで安全に利用できます。特に、イベントやPR動画など外部に公開されるシーンでは、正規の申請を経て利用することが求められます。企業として信頼を守るためにも、自己判断せず管理団体へ相談することが望ましいでしょう。

無断利用のリスクは?


弁護士
野俣 智裕
ここでは、BGMを無断で使用した場合に企業が直面する可能性のあるリスクについて解説します。

損害賠償請求等

著作権を侵害した場合、著作権者や管理団体から損害賠償を請求される可能性があります。請求額は利用規模や期間、悪質性によって増大し、場合によっては数百万円に及ぶケースもあります。さらに、著作権法違反は刑事罰の対象となり、罰金や拘禁刑に問われるリスクもあります。

企業イメージへのダメージ

「無断で音楽を使用している会社」という評判が広まれば、社会的な信用が大きく損なわれます。特に消費者や顧客に近い業態では、法令遵守を軽視しているというイメージがブランド価値の低下につながります。ネットで炎上する可能性もあり、風評被害は長期的に事業へ悪影響を与えるでしょう。

取引先からの信用低下

BtoBの観点では取引先やパートナー企業への影響も無視できません。コンプライアンス意識が低いと見られると、契約の見直しや新規取引停止などのリスクが生じる可能性があります。

企業が今すぐできる対策


弁護士
野俣 智裕
ここでは、企業が著作権リスクを回避するために、今すぐ取り組める実践的な対策を解説します。

利用ルールを社内で共有する

まず必要なのは、従業員全員に「どの音楽が利用できて、どれが利用できないか」を明確に周知することです。特にイベント担当者やマーケティング部門は音楽を使う機会が多いため、利用可能なBGMの範囲をガイドライン化し、社内研修やマニュアルに落とし込むと安心です。ルールが統一されることで、無意識の違反を防げます。

契約時にBGM利用条件を確認する

外部業者にイベント企画や動画制作を依頼する際は、「使用される音楽に関する権利処理が済んでいるか」を必ず確認しましょう。契約書にBGM利用条件を明記しておけば、後になって「著作権使用料は依頼主が負担」といったトラブルを防げます。制作会社任せにせず、契約段階から確認しておくことがリスク回避につながります。

専門家に相談するメリット

著作権の扱いに迷ったときは、弁護士などの専門家に相談するのが最も確実です。特に、複数の拠点で音楽を流す場合や、オンライン配信を伴うイベントでは、JASRAC等への申請範囲が複雑になります。専門家の助言を受けることで、余計なコストや法的リスクを回避しつつ、安心して音楽を活用できる体制を構築できます。

まとめ

企業がBGMを流す際には、購入したCDや個人向けサブスクをそのまま使うと著作権侵害にあたる可能性があります。無断利用は損害賠償や信用低下など大きなリスクにつながりますが、BGMサービスや著作権フリー素材の利用、JASRAC等への申請で安全に活用できます。自社に合った対応を確認するためにも、当事務所までお気軽にご相談ください。

野俣智裕
記事の監修者
代表弁護士野俣智裕
弁護士法人 ダーウィン法律事務所 代表弁護士
■東京弁護士会
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