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知的財産コラム

システム開発の著作権とは?企業が最低限知っておくべきポイント

投稿日:2026年10月02日 更新日:2026年10月02日

「システム開発の著作権はどのようになっているのだろうか」
「システムの開発費を払ったのだから、著作権ごと自社のものになるのでは?」
と気になりませんか。
システム開発を外注するとき、「完成したシステムは当然自社のものになる」と考えている方は少なくありません。実際、業務としてお金を支払って開発している以上、そう考えるのが自然だと思います。
しかし、システム開発においては、その感覚と法律上の扱いが一致しない場面があります。著作権の考え方を正しく理解していないと、後から修正ができなくなったり、別の会社に引き継げなかったりと、想定外の問題が生じることがあります。
本記事では、システム開発と著作権について、最低限知っておくべきポイントを整理して解説します。

そもそも著作権とは何なのか


弁護士
野俣 智裕
ここでは、システム開発に関係する「著作権」の考え方を解説します。

著作権とは「作った人の権利」

著作権とは、文章やプログラムなど、何らかの創作物を作った人に自動的に発生する権利です。特別な登録や申請をしなくても、完成した時点で発生します。
この「作った人に発生する」という点が、システム開発では特に重要になります。
発注した側ではなく、実際にプログラムを作成した側に権利が生じるのが原則だからです。

プログラムやシステムも著作物に含まれる

プログラムやシステムは、創作性があれば著作権法上の「著作物」に該当します。業務用のシステムであっても例外ではありません。
画面のデザインだけでなく、内部の処理ロジックやコードも含めて、著作権の保護対象になります。そのため、システム開発は単なる業務委託ではなく、著作権の扱いが伴う取引だと考える必要があります。

企業が勘違いしてしまう理由


弁護士
野俣 智裕
ここでは、実際の現場でよく見られる誤解について説明します。

「発注した=自社のもの」だと思い込んでしまう

業務として費用を支払い、要件を伝えて開発しているため、「自社のシステムなのだから自由に使えるはず」と考えてしまうケースは少なくありません。
しかし、著作権の世界では「誰が作ったか」が基準になります。発注した事実だけでは、権利の帰属は変わりません。

ソースコードは当然もらえると思っている

完成したシステムが問題なく動いていると、「中身のコードも一緒にもらっている」と思い込んでしまうケースがあります。
しかし、契約内容によっては、納品物が「動作するシステム一式」に限定されており、ソースコードの引渡しが含まれていないことも珍しくありません。
この場合、見た目は自社のシステムでも、内部構造はブラックボックスのままという状態になります。
後から改修や機能追加をしようとしても、ソースコードがなければ対応できず、結果として同じ開発会社に依頼し続けるしかなくなることもあります。

そもそも著作権が関係するという認識が薄い

システム開発は「業務委託」や「外注」というイメージが強く、著作権の話とは結び付きにくい分野です。
そのため、契約書を確認する際も、金額や納期ばかりに目が向き、権利関係は深く考えられないまま進んでしまいがちです。
しかし、プログラムは法律上「著作物」として扱われます。
これはデザインや文章と同じ位置づけであり、何となく使ってよいものではありません。
この認識がないまま契約を結ぶと、「そんなつもりじゃなかった」「聞いていない」という事態になりやすく、後から修正しようとしても難しくなるのが実情です。

著作権は誰のものになるのか?


弁護士
野俣 智裕
著作権の帰属は、開発形態によって変わります。

自社で開発した場合

自社の社員が業務としてシステムを開発した場合、原則としてその著作権は会社に帰属します。これは、業務として作成された著作物については「職務著作」として扱われるためです。
この場合、会社はシステムの改修や機能追加、他社への引継ぎなどを自社判断で行うことができます。

外注(請負)した場合

システムを外注して開発した場合、著作権は原則として開発会社に帰属します。発注側が費用を負担していても、契約で定めない限り著作権は自動的には移りません。著作権を自社に帰属させたい場合は、契約書で明確に定める必要があります。

起こりえるトラブル


弁護士
野俣 智裕
ここでは、システム開発で起こり得る著作権トラブルについて解説します。

システムを改修しようとしたら断られた

システムは導入して終わりではなく、運用の中で修正や機能追加が発生します。
しかし、著作権が開発会社に残っている場合、改修そのものを断られることがあります。
特に問題になりやすいのが、別の会社に改修を依頼しようとした場合です。
開発会社以外が手を加えることを想定していない契約になっていると、改修ができず、事実上その会社に依存する状態になります。

他社に引き継げず、作り直しになった

保守対応の遅れや方針変更などを理由に、開発会社を変更したくなることは珍しくありません。
しかし、著作権や利用権の整理がされていないと、ソースコードを引き継げず、システムを一から作り直すことになります。
機能自体は問題なく動いているにもかかわらず、「権利の問題」だけで再開発が必要になるケースもあり、コストと時間の両面で大きな負担になります。

著作権の追加料金を請求された

当初の契約では想定していなかった使い方をしようとした際に、追加料金を求められるケースもあります。
たとえば、別事業での利用、拠点を増やしての利用、仕様変更を伴う活用などが該当します。
契約書に利用範囲が明確に書かれていない場合、どこまでが許されるのか判断できず、結果として開発会社の言い分が通りやすくなります。

社長が必ず確認すべき契約書のポイント


弁護士
野俣 智裕
ここでは、システム開発を依頼する際に、社長や決裁者が必ず目を通しておくべき契約書のポイントについて解説します。

著作権の帰属

まず確認すべきなのは、著作権がどこに帰属するかです。
発注して費用を支払っていても、契約上は開発会社に著作権が残るケースがあります。
この点を曖昧にしたまま進めると、将来システムを変更したいときや、別の会社に引き継ぎたいときに制約が出ます。
「誰のものか」が明記されているかどうかは、必ず確認しておく必要があります。

著作者人格権の扱い

著作権とは別に、著作者人格権という考え方があります。
これは、作った人が内容の変更を拒める権利です。
契約書にこの点の記載がない場合、理屈の上では改修や仕様変更に制限がかかる可能性があります。
この権利は譲渡できないため、実務では「著作者人格権を行使しない」と定めることで対応するのが一般的です。

改修・二次利用の可否

システムは導入して終わりではなく、運用しながら手を入れていくものです。
そのため、改修や他社への引継ぎが可能かどうかは重要なポイントになります。
契約内容によっては、開発会社以外が触れない形になっていることもあります。
そうなると、将来的なコストや自由度に影響が出るため、事前に確認しておくことが重要です。

著作権トラブルを防ぐためにやるべきこと


弁護士
野俣 智裕
ここでは、システム開発における著作権トラブルを避けるために、最低限意識しておきたいポイントを整理します。

口約束にしない

システム開発では、「そこまで厳密に決めなくても大丈夫だろう」と考えて話が進むことがあります。
しかし、著作権に関しては、その認識が後から問題になることが少なくありません。
どちらが著作権を持つのか、改修は可能なのかといった点は、口約束を避けてください。
「言った」「聞いていない」という話にならないよう、重要な点ほど契約書に明記されているかを確認する必要があります。

不安な場合は弁護士に確認する

契約書の内容に少しでも違和感がある場合は、専門家に確認するのが最も確実です。
特に、著作権の帰属や利用範囲は、文言ひとつで解釈が変わることがあります。
すべてを理解しようとする必要はありませんが、「この内容で将来困らないか」という視点でチェックしてもらうだけでも意味があります。
後から修正するより、契約前に確認する方が負担ははるかに小さくなります。

まとめ

システム開発では、「発注したから自社のものになる」という感覚と、実際の著作権の扱いにズレが生じやすいのが実情です。
著作権は契約内容によって帰属や利用範囲が決まるため、事前にどこまで使えるのかを整理しておくことが重要になります。
開発後に「こんなはずではなかった」とならないためにも、契約内容を確認し、不明点があれば早めに専門家へ相談することが大切です。
システム開発に関する著作権や契約内容でお悩みの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。

野俣智裕
記事の監修者
代表弁護士野俣智裕
弁護士法人 ダーウィン法律事務所 代表弁護士
■東京弁護士会
■日弁連信託センター

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